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「うん、それで最後だよな?」 すぐ後ろから覗きこんだのは課長で、私は驚いて背筋をぴんと伸ばした。 「は、はいっ!」 「ははっ、良い返事」 課長は私の顔のすぐ横で、眼鏡のブリッジをクイッと持ち上げた。 ……うぅ、至近距離! 若くして出世街道まっしぐらな課長は独身で、うちの課のみならず部署全体……いや、会社全部が彼を知っている。 なんせ、課長は背も高くイケメンで、普段かけている眼鏡がまた彼の端正な顔立ちを引き立たせていた。 あこがれない女子なんていないと思う。 みんな、課長に声をかけられただけで目がハートになってしまうくらいカッコイイ。 そう言う私もそのうちの一人なんだけど、そうも言っていられないのは、その課長は仕事に厳しいから。 「雪野、出来あがったの纏めてこっちによこしてくれ」 すっと体を起こした課長はさっさとデスクへ戻って行ってしまう。 「はい、わかりました」 返事をしながら、離れて行く課長にがっかりしてる場合じゃないと慌ててまたパソコンの画面へと向き直った。
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