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⑤【我慢】
朝、男から戸惑いの文字が送られてきた事で、女は文字を送ってしまった事に気がついた。
女は、酔っ払って送ってしまったと、謝りの文字を返した。
男は許してくれた。
しかし、その出来事は、既に終わりを告げていたのかも知れない。
そして、又…男からの急な連絡。
女は、男の為に、いつも綺麗でいたいと思っていた。
しかし、女はその日、化粧もしていなかった。
その日、初めて着用した服装も似合っていなかった。
その日、女のホルモンが、身体中を激しく暴れまくっていた。
全てが、悪い日だった。
男は知るはずもない。
断ればよかった。
でも、会いたいとの気持ちが勝ってしまった女。
私達の馴染みのお店。
体調は優れない。それを隠す為に、無理して笑顔を作る女。
飲まなければ良かったものの、
口にしてしまったお酒。
男に好い、直ぐに酔いが回った女。
「寂しい」「苦しい」「悲しい」「私は何?」と、
素直に出せれば良かったのに…。
女が積み上げてきた不安、
そして我慢は、時に怒りに変わる。
男の周りの女に対する異常な嫉妬が込み上げてきた。
酒の力で吐き出した言葉は、
止める事が出来ない。
そして、ブラックアウト…。
朝、男からの文字。
もう無理です。
女は焦る。
何を言ったのだろうか?
何をしたのだろうか?
何も分からない。
ただ分かるのは、
男は何も悪くない。
こんな歳にもなって、醜態をさらした女。
恥ずかしさ、自己嫌悪、そしてプライドが邪魔をして、女は素直に謝れなかった。
そして別れの文字を送り、男の全てを削除した。
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