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「違うわ。無駄なんかじゃない…!」
何と言えば伝わるのだろう。
この気持ちが。この愛おしさが。
「私は。私はただ……!」
───私は、遠山くんの。
「傍に居たいだけ……」
遠山くんがはっと目を見開く。
私も無意識のうちに少女のような顔をしていた自分に驚いた。
ぽろりと零れたような言葉。
教師と元生徒という関係は頭から抜け落ちていた。
───そばにいたい。
それが私の本音。
「……センセイ、俺ね」
「うん」
「今日までずっと、生きる意味ばっか考えてきたわけだけど」
今、やっと分かった。
「センセイが、俺の生きる意味」
今、俺は生きてるんだね、と。
遠山くんが今にも泣き出しそうな顔で笑う。
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