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どこか物悲しそうに言う孟達に、男たちの一人がたまらず口を挟んだ。
「そんなことはない! 人は理と論で生きている! 人は善を為す! そうやって、世のすべてを分かったつもりになるのは危険だぞ!?」
年長者としての叫びだった。しかし、冷めた目の少年は冷めた目の少女を抱きかかえると、少女を膝の上に座らせた。
「俺とセイ、二人合わせりゃ、猛法(もうほう)だ」
「猛法とは」
「過酷な法」
「つまり!」
「俺たちがルール! 俺たちが正義! 俺たちが至尊だ!!」
「な!?」
「猛法の二文字に」
「例外は、ない」
「おわかりかな、みなさん。さーてさて、これからの戦局、それも紐解いていきましょうかね」
「よかった、なら、おひねり、ちょうだい、ね」
どこまでも増長した二人は、しかし、それですらも驕りではないと声高らかに宣言し、雇い主に対して獰猛な顔で笑った。
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