48人が本棚に入れています
本棚に追加
/351ページ
◆放課後──
俺は帰宅部を推したんだが、阿久津は中学と同じテニス部に入るのを決めてるらしく、もう一緒に帰ってくんねぇー……。
「もうテニスは止めたんじゃなかったのか?」
俺がそう言って過去の決意を思い起こさせても、阿久津は──。
「ああ、最初はそう思ってたんだけど、なんかもったいなくて」
阿久津ちゃんよ~。俺との時間が減るのも、もったいないぞ?
「ふーん。そんなもんなのかー」
「佐々良も何かクラブ入らないのか?」
「俺はアッチをやってるから」
「ま、そうだな……」
まだ入部はしてないけど、この機会にと、俺一人で帰る練習をさせるらしい。
とか、なんとか言って。どうせ女だろ? 女をどっか校門とかで待たせてるだろ?
俺も知ってるんだから!
「わっ!」とか脅かし愛したり「だーれだ」とか目ん玉グリグリしたり「捕まえてごらーん」「あはははは」なんてやって、チチクリあうんだろう? 知ってるんだからー。
……。
学校から俺ん家まで結構あるぞ? かなり、多分、一キロじゃきかないな、二キロ、いや三キロ、もしかして五キロ? 十キロはさすがに無いけど……。
チャリで二十分? 正確に計っこと無いけど、二十分以上、三十五分未満ってとこだ。
もう道は覚えたけど、万が一ってこともあるんだぞ? 阿久津……。
──ハァ。
もぉ。しゃーねぇーな、俺の方から折れてやるよ。
邪魔しちゃ悪いから、今日は一人で帰ることにした。
「阿久津ちゃん、まだ教室に居るのか?」
中学の頃にふざけて『あくっちゃん』と呼んでたら、いつの間にかそう呼ぶようになった。今でもたまにそう呼ぶ。小学ん時は『あくつー』だった。そのままだ。
「ああ、もうちょっと居る」
「そか。彼女によろしくなー。今度紹介しろよ~」
「あっ? だから部活について色々と、職員室に聞きに行くだけだよっ!」
そういうの兄弟とか姉妹とか、ツレとかに聞かないか? 阿久津、真面目だな~。
最初のコメントを投稿しよう!