第二章

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第二章

 隣に引っ越して来たあの女性は、僕の妹だ。なぜ、僕の家の隣に引っ越して来たのか。それは、母さんに僕のことを監視するように命じられたみたい。  さかのぼること一年前、僕は母さんに内緒で、ある女性とつき合っていた事があった。その女性は、僕に借金を残したまま、一週間ほどで、この家を出ていった。それからずっと、僕は一人で、借金取りに追われながら逃げ惑う毎日を送っている。それに気づいたから、母さんは、妹を監視役として押しつけたのだ。  今日も妹は、隣の窓から双眼鏡でのぞきながら、僕の様子を見ている。僕はその様子にほくそ笑みながら、今日も借金取りから逃げる準備をしている。  スタートの合図は、近くの学校のチャイムだ。ほらもうすぐ、鳴り始めるよ。キーンコーンカーンコーンと。 (第二章 完)
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