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庭に降りる合図だと言われていたピアノの生演奏が聞こえ、亨が「行くか」と言いながら私の唇を親指で拭った。
行くよ。
口紅が取れて違う赤に染まっていても、行くしかないでしょ。
二階のベランダから螺旋階段までのステップで、小さな段差がありドレスの裾を気にしていると、亨が私の腰を抱き上げて踊り場まで来てくれた。
「ちょっ、恥ずかしい!」
「いいだろ、ちょっとくらい」
だってここまで来たら、下で待ってる招待客に丸見えだ。
案の定、下から冷かしの歓声と野次が飛んでくる。
気楽なガーデンパーティだからこそだけど
その中には当然。
「キスしろキス!」
「見たーい!」
と、こういう品のないものもあるわけで。
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