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数秒、見つめ合ってから
互いに瞼を閉じて、唇を合わせた。
久しぶりに会った割には、優しく重なり啄む唇。
だけどゆっくりと、時間を惜しむように合わせていると幸せがこみ上げる。
食むようにして何度も重ねていると
やがてどちらからともなく舌を絡めて遊んだ。
立ったままでは膝の力が抜けて、不安定だった。
亨の胸に縋り付き身体を預けると、胸元のブートニアに指先が触れ。
少し隙間ができては亨の舌が唇の表面を撫で、また口内を擽るの繰り返し。
「んっ、待って」
「ん?」
「口紅取れる」
「要らないだろ、充分赤くなってる」
「……やだ、それ」
そんな赤、口紅の色よりも恥ずかしい。
まるで熟れてるみたいな色なんだろうと、想像ができてしまう。
唇を噤んで亨を睨むと、ふっと彼の目が優しく弧を描いた。
空気の全部が、甘くて熱くて蕩けてしまう。
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