第1章

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 喉が乾いた。  中途半端な時間に目が覚めた仁はベッドから抜け出してキッチンへとたった。 ふせてあるコップから水を飲めばカルキ臭い。 二杯めは浄水に切り替えて一気に飲み干した。 「ふうぅ」  腹から息を吐き出してぶるっと犬のように頭をふり、 また水を飲んだ。  スリッパも履かず冷えたフローリングを歩き、 どかりとソファに座る。 「やべえな。 なんつう夢だ」  電気もつけずに天井を見上げると、 革張りのソファが部屋の温度より冷たかった。 手を伸ばしてテーブルの上にあったリモコンを操作して暖房をいれる。 それから首をソファに預けて組んだ手で額を覆った。
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