一、悪夢

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私がオニになりはてる前、頻繁に同じ夢を見るようになった。 薄暗い四角い部屋。四隅に立ててある蝋燭が、風もないのにゆれている。ゆれる薄明かりの真ん中には古い着物を着た子、昭和に流行ったブラウスにスカートの子。平成のものとは思えない服装をした女の子が数人で手を繋ぎ円を作っていた。その中央には私と黒い人間のような者が少し。それらは人の形をしているがその顔は真っ黒で目鼻や口はなく、ただ緩慢にユラユラ動いているだけ。だが、不思議と恐怖を感じなかった。 歌はかごめ唄に似ている。オニを囲んで数人がぐるぐる回るのも。違うのは、その歌詞と円の中のモノが人間ではないこと。たぶん、今の私も人間ではないのだろう。そう思えてきたころに目が覚める。ただの夢とは思えない夢。 これが全てのはじまりだった。
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