『僕は君のもの』という台詞を使った「楽しい場面」

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 もうここで、夢ちゃんが何をどう勘違いしていたのか察してしまった。  小学校からの長い付き合いの純先輩は、僕の数少ない友達のひとりと言っていい。  いつだって適当でちゃらんぽらんだった彼に彼女が出来たのは先週の話。 「好きな子にプレゼントを買いに行くのなんて初めてでどうしたらいいのかわからない。だから、買い物付き合って」と言われたのが、今日の朝。  夢ちゃんと同じ陸上部に所属する彼から、どうしてそうなったのかは判らないけれど、この流れが捻じ曲がって伝わったんだろう。 「……ぷっ」 「どうしたの、叶太くん」 「どうしたも何も、ひっどい勘違いだよ夢ちゃん。ほもにしないでよ」 「だって、北村先輩がっ」  考えると可笑しくて可笑しくて、笑いが止まらなくなってきた。  そういえば、生徒会長だ何だと夢ちゃんの真面目ぶりばかりが注目されていて忘れかけていた。  この娘、ものすごい天然ちゃんだったんだっけ。  それに加えて、純先輩は人をからかうのが趣味特技と豪語する男。きっと、今日のターゲットは夢ちゃんだったんだろう。  いつも気を張って過ごしている彼女の小さな隙をつくのはあの先輩なら朝飯前のはず。  夢ちゃんをターゲットにした事と、彼女が先輩のそんなアホな嘘を鵜呑みにしたのは面白くないけれど、校内でこんな風に話をする機会をくれた事は、感謝しようかな。 .
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