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「心音…」
漸く彼女の名前を呼ぶ。
「師匠の事を思いながら心を込めて作りました。どうぞ、一度座ってみてください。」
昔と変わらないあの笑顔で心音が言う。
俺は一旦、心音を離すと言われた通り座椅子に座ってみた。
ゆっくり背もたれに体を預けると確かに俺の体に
驚くほどフィットしていた。
「良い座り心地だな。俺の体にピッタリだ。」
「ほ、本当ですか!?」
と一瞬で目を輝かせる心音。
ああ、こいつのこういう顔見るの久しぶりだよな。
ふと、タイトルに疑問が浮かぶ。
「でも、これ俺の場所だろ?そしたらタイトルと意味が違ってくるんじゃないのか?」
「違わないです。」
と言うと座椅子に座る俺の膝の上にちょこんと遠慮がちに座る心音。
何が起こったか一瞬分からずボケッとした顔していると
「えっと……これで私の帰る場所になります……とか?」
と言いながら俺を見る顔があまりにも愛しくて
頭をくしゃくしゃってしてやった。
この感触、髪は随分と短くなったけど変わんねぇな。
心音も擽ったそうに首を少し竦める。
少し照れた心音をそのままギュッと抱きしめると俺は唇を重ねた。
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