第1章

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A「(……あ、B先輩だ!)」 B「(あれから一年か……一体、何処に行きやがったんだ)」 A「B先輩!」 B「……Aか。こんな所で何してんだ?」 A「は、はい! 偶然ですね! 私は犬の散歩中なんです。先輩は……」 B「お前! その、犬……!!」 A「ええっ、何ですか!?」 B「……いや。すまん。そんなわけが無いよな」 A「どうしたんです……? ポチが恐がってるじゃないですかぁ」 B「悪い。俺も昔、拾った犬を飼ってたんだが、実は、一年前に行方不明になっちまったんだよ」 A「そう、だったんですか……寂しいですね」 B「ああ……Aの犬、よく似てたもんでつい、あいつかと思ったんだが……そんなわけ無いよな」 A「そんなわけないですよー! 私に凄く懐いてますし! B先輩が来ても全くの無反応じゃないですか」 B「そうだよな……。(俺の犬なら、俺が買ってやった赤い首輪が付いてる筈だ)」 A「迷子の犬、この辺に居るかも知れませんよ? 私も一年くらい前、この辺でこの子拾いましたから」 B「……拾ったのか? (俺のシロが居なくなったのは、一年前の秋の始め頃……)」 A「拾ったというか、元々飼ってて一年くらい迷子になってたのが、また再会したんです!」  B「そりゃあ、運が良かったな。(俺がシロを拾ってから飼っていたのは一年間……もしかして……)」 A「ちょうど今くらいの秋! 赤っぽいダサい首輪付けられてましたけど、きっと誰かに連れ去られて、暫くして捨てられてたんですね」 B「いやそれ……誤解。(連れ去っても捨ててもないよ……っていうか)」  A「こんな可愛い子を捨てるなんて、きっと悪魔ですよ! 最っ低です!」 B「……なあ、あの」 A「私、すぐ連れて帰りました! 最初は何故か懐かなかったですけど、今では、また大事な大事な家族の一員ですよ!」 B「……可愛がってやってるんだな?」 A「勿論です! あ、すみません。B先輩が居ると、なんか、ポチの落ち着きがないんで、そろそろ行きますね!」 B「ああ。ちょっと待てっ……!」 A「えっ?」 B「……いや、何でもない。またな、A」 A「……? では、また学校で! こら、ポチ! こっちだよ!?」 犬「……」 B「(A、もうお前に譲ろう……)」 A「ポチ、鳩がいっぱいだねー?」 犬「……」 B「……元気でな、シロ」 犬「ワン!!」 A「?!」
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