3、リンカーネイション

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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ それは暗闇の中でもはっきり聞こえてきた。 カツーン、カツーン……。革靴だろうか、”それは”否応なく聞こえてくるのだ。どんな日でも、どんな日時でも。 最初は気のせいだと思った。私が気にしすぎているのだと、きっと偶然聞こえてくるだけだと。 しかしその音は何日、何週間と経っても消えない。それはある場所を通ると必ず聞こえてくるようになった。革靴がアスファルトの道路に当たる音、しかもいつも同じような音量で、公園を抜けると消えてしまうのだ。 もしや、と思った。私をつけ狙うストーカーではないかと考えた私は、相手の姿を見るためいつも歩くルートを少し小走りで通り、物陰に隠れた。これなら後ろ姿は、と私は緊張しながら待ったが誰も通らなかった。 何故?と疑問を浮かべる私に、またあの音が。ゆっくり振り返るが暗闇の公園で人影を見つけることはできなかった。 もしや私の行動をすべて把握しているのではないか。しかし1人で上京してきた私に友達はいないし、頼れる人物もいない。 警察に行っても軽く足蹴にされてしまった。どうやらそんな事には構ってられないようだ。 まだ音は響いてくる。いつも私の後ろに”張り付くように”。 跫。これで足音というらしい。漢字変換したときに偶然出てきた字だ。何故だかこの漢字を見るだけであの音が蘇ってくるようで、目を背けてしまう。 数日後、警察に赴くと今度は違う対応をしてくれた。どうやらそのような事件に対応してくれる部署があるらしく、私の話を聞いた方が口利きしてくれたようだ。 ありがたい。そんな思いを抱きつつ、私はその部署の名前をメモした。 そこは”特殊犯罪捜査係”というのだそうだ。
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