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こちらへずいと迫った小宮さんの両手が、俺の腕に乗せられる。
そんなものを聞いてどうするんだ、と思いつつも、期待の目を向けられると無下にもできず、
「高校の頃から数年間、年上の女性と関係があってから、それきりです」
と端的に答えた。
俺にはその話くらいしか、付き合いと呼べるような話がなかった。
たとえ、仮初めだったとしても。
「もっと詳しくお願いします」
「詳しく……ですか」
決して誇れるような過去ではないが、別に隠したいとも思ってはいない俺は、彼女とのことを、バイト先での出会いから彼女の結婚が理由の別れまで、かいつまんで聞かれるままに説明した。
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