第11章

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「大丈夫だってば!!」 「一華、そんな乱暴な子に育てた覚えはありません!」 「お兄ちゃんに育てられた覚えもありません!!」 イーっと、子どもみたいに抗議して、翔太の隣に座る。 翔太は楽しそうに笑っていて、その姿に少しホッとする。 「そうそう、レンから預かってきたんだ。」 お兄ちゃんが、ファイルを取り出して、私に差し出している。 受け取って、書類を見る。 「…夏祭り?」 商店街の夏祭りについての説明が書いてある。 「ああ。 今年は少し規模を拡大して、夏祭りを開催しようって話になってるんだ。 夏祭りの会合には、一華も参加して欲しいんだけど。」 「うん、わかった。」 「翔太くんも、会合には参加するよね?」 お兄ちゃんが、翔太に視線を向ける。 「はい、もちろん。」 「で、一華にもアイディアを出してもらいたいことと、詳しいことが決まったら、運営の手伝いもしてもらいたいと思ってる。」 「わかりました。」 「商店街のお店の人たちに、説明するとかそういう仕事がメインになると思うんだけど、大丈夫か?」 「やってみるよ。」 「了解。 ってことを、伝えたかっただけだから、明日は来なくて大丈夫だよ。」 「わかった。 わざわざ来てもらって、ありがとう。」 「お、さっきとは態度が…。」 「今は、お仕事だからね?」 「仕事だと、一華が優しい…。」 目元を押さえて、泣いてるフリなんてしてる。 「もー!! お兄ちゃんが、からかうからでしょ?」 「かわいい妹をからかうのは、兄の特権だからな。」 「特権じゃないってば。」 「次は日本酒もらおうかな。 翔太くんも、どう?」 「はい。 なににしますか?」 「そうだなぁ。」 日本酒選びが始まってしまった。 私は書類をファイルに戻して、バッグにしまう。
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