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「っつーか三十分も遅れた理由を説明しろよ。『収穫はありませんでしたー』って報告なんざ要らねぇからな」
「へへ……聞いて驚け。ターゲットを見つけた」
「! ホントか!」
食いついたラムディスに、ユッカはニヤリと笑みを浮かべる。
「さっき酒場に行った時、マスターと話し込んでた男なんだけどさ。スキンヘッドで、四十半ばってトコかな。んでもって大柄な体格に、資料と同じ紋章のついたローブを着こんでた。今挙げた特徴だけでも目撃証言と合致するぜ」
「非公式指名手配犯ガッツェ=スカルツ、か」
「うるせー客が多くて話はよく聞き取れなかったんだよな。一応後をつけてみたが途中で撒かれた。装備からして街の外にはまだ出てなさそーだ」
「なるほど、ヤツを尾行してたから遅れたってコトか」
「いや?」
やっと納得出来る理由が提示されたと思ったら即座に否定されて、ラムディスは眉根を寄せた。
「だったら何でだよ」
「迷った」
「……はぁ!?」
「だってしょーがねーだろ!? この街あんまり出入りしたことねーし、住宅街もおんなじような区画ばっかりでよー」
ふてくされたように、ユッカ。
「いやいや待てよ、待ち合わせにこの場所を指定したのは他でもないお前だろうが!」
「あれ、そうだったっけ?」
「そうだよ! だから任務遂行時はランドマークくらい覚えとけっていつも言ってるでしょッ!?」
我知らずオカンのような口調になってしまうラムディス。相棒の緊張感のなさはいつものことだ。彼は逐一それに振り回されてきた。
「よし分かった! じゃあ早速やることやっちまおうぜ!」
「何が分かったんだ何が!!」
ツッコめるだけツッコんだ後、ユッカの肩越しに見えた人影にラムディスは硬直した。
「ん?」
ユッカもその視線を辿って振り返る。
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