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「なんだよ、これ…」
「丹野さん!」
陣さんが一瞬、黒のバンに視線を走らせてから一哉くんに肩を貸しながら近づいてくる。
一哉くんは、無事だった。
でも、丹野さんがお腹の辺りを撃たれていた。
「止血を! 抑えて!!」
私は自分の痛みも忘れて丹野さんのお腹をまくりあげ、血が流れ出しているところをハンカチで抑えた。
脇腹の方らしく、傷口がどこなのか分からない。
「誰か、お願い、誰か救急車を呼んで…!」
丹野さんは言葉もない。
自分がどうしてそうなっているのか、分からないみたいだった。
私は集まってきた周りに必死で日本語で呼びかけていた。
丹野さんはただただ顔色を失っていた。
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