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ただ何とは無しに、ふらりとコンビニでも行こうかなと家を出た。
家からコンビニは公園をつっきると早く着く。
この時期は紅葉で園内の木々も明るく色付き、歩いていてとても心地が良い。
秋風を頬に受け、清々しい気持ちで並木道を歩いていると……
「待って、待ってったら……!」
前の方から、犬が駆けてくる。
それに引かれる形で、女の子が走ってきていた。
珍しくもない、この公園はジョギングや散歩道によくされているのだ。
女の子が脇を通り過ぎる。
その瞬間、先程まで受けていた風とはまた違う風を身体に受けた。
「あっ」
通り過ぎた女の子が、小さな声をあげる。
振り返ると、ちょうど鳩が飛び立つ瞬間だった。
舞い散る紅葉。
風に揺れる髪が、さっきの風を思い起こさせる。
何気ない一瞬。
その瞬間、僕は確かに彼女に恋をしていた。
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