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役割を分担する。
そう言われ、真一が口にしたのは、
「しばらくの間、昼と帰りは吾妻と行動しろ」
だった。
だった。しかも、吾妻に教室に迎えに来るようにという指示を出す。
「教室に、か?」
「吾妻と知り合いだとわかれば下手に手出しをしてこないだろう」
確かに吾妻が居れば手出ししてこないだろうな。
だから俺はすぐにその提案を受けれたのだが、吾妻は何か躊躇う素振りをみせる。素直にその提案を受け入れてくれると思っていたのに。
だが、すぐにその理由を知る。
「俺は凄く嬉しいけれどよ、そんなことしたら優に迷惑が掛かんだぞ?」
怖がられてもいいのかよと、心配そうに俺を見る。
あぁ、だからあんな顔を見せたのか。
逆に迷惑を掛けているのは俺だというのに、なんて優しいんだろう。
その気持ちが嬉しくて、俺は手を伸ばして吾妻の頬に触れた。
「周りになんて思われ様が気にしないよ、俺は」
だから心配しないでと、そう気持ちを込めて頬を撫でれば、
「優っ!」
吾妻は皆が居る前で俺を抱き締めてきて、思わず声をあげてしまった俺に、何をしているんだと川上君に後頭部を叩かれていた。
まぁ、そんなやり取りがあり、冗談で吾妻に舎弟のふりでもするかと言ったら、その意見が通りこうなった訳だ。
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