秋の宴

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その日、中庭の金木犀の香りは 一際強かった。 中庭を囲むように建つ校舎の3階。 その一角にある生徒会室の窓から 大きな金木犀の頭を横目に眺める。 一向に終わりの見えない 学祭アンケートの集計に 頭がかなり重くなってきていた。 私は、窓は閉まっていたが、 どこからか香る金木犀の匂いを 取り込むように大きく息をする。 外はまだ5時前と言うのに すでに陽は落ち、薄紫の宵が迫る。 「美香ぁ。それ、まだ掛かりそう?」 ふと顔を上げると 少し開いた扉の隙間から 親友の奈津が顔だけを覗かせていた。 「…ごめん、奈津。 まだ終わりそうにないかも。 てか、先帰ってても良かったのに」 苦笑して漏らす言葉に 奈津は少しだけ頬を膨らませながら 後ろ手で私の側まで近寄ってくる 「待ってちゃ悪い?」 「全然。 ありがとうございます」 喧嘩腰に言ってくる奈津の言葉に 私は戯けて返事をかえす。 「…でも美香も大変だね。 学祭後でみーんな部活おやすみの日に お仕事だなんて」
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