第二十五章

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 最近、この街にやってきた安子は、家の近くにある喫茶店に初めて入った。この店では、マスターが一人で切り盛りしているので、忙しく、猫の手も借りたいくらい大変そうだった。  だから安子は、誰に何を言われるわけでもなく、進んで、飲み終わったカップを下げに、店の奥へとやってきた。マスターは、安子のこの行動に目を丸くして、なんて言っていいのか、言葉が見つからなかった。 「お礼なんて良いですよ。自分でやったことですから」  安子のその一言に、マスターは救われたような感じがしたみたい。
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