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それから、
少しすると桐嶋さんが戻ってきた。
「愛果さん」
「はい……?」
「数秒間だけ、目を閉じてもらっていてもいいですか?」
目を閉じて、って―…どうして?と思ったけど、
「はい……」
言われたとおりに、瞼を閉じる。
数秒間って、どのくらい閉じてたらいいの?
なんて考えていると、ふぁさっ……と、私の前髪が揺れた。
と、同時に、
「もう、大丈夫ですよ」
桐嶋さんから合図が出て、ゆっくと瞼を開ける。
「えっ……」
するとそこには、大きなチューリップの花束。
「これ―…」
「僕からのバレンタインは花束を。フラワーバレンタインです」
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