違和感のある声

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出会ったのは五才の誕生日だった。 その日から友達になって、思春期が過ぎてしばらくすると私の彼になっていた。 彼は熊田ゴロウ。 通称 くまごろう。 太い眉とつぶらな瞳がチャーミングな彼。 「電池替えたら動くかな?」 ……私には彼しかいない。 父がくれたクマのぬいぐるみ。 当時人気を集めた録音機能付き。 何年経っても私は離れられない。 帰宅したらお酒に酔って録音する。 そうして翌朝起きたら再生する。 これがもう私の生活の一部。 いつか壊れてしまうその日まで彼は私の彼で居てくれる。
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