起臥魯迅2

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呼吸も心音も表情も、全く微動だにしなかった。俺を相手に嘘を付くにはまだまだ若いな。せめて心音くらいは操ってみせろ。あいつみたいに。 もしかして聞こえてない?いやそんなはずはない。俺は耳元で聞こえるように言った。 感づかれるのが嫌だったんだ。 俺にじゃない。蓮香ちゃんと時雨君に。 何かしらの反応を見せれば後で2人に問い詰められるだろう。何を言われたの?大丈夫?ってな。 だから俺が戯言、どうでも事を言い残したって事にしたかったんだ。 だから無反応を通した。一切の反応を消した。 頑張れば役者になれるだろう。それも主役だ。 いや頑張らなくてもなれるか。 あれだけ心と体を切り離しているやつはそういない。切り離そうと思って切り離せるほど、心と体のリンクは細くない。 たぶんあいつは、子供の頃からそもそも繋がっていないんだ。最初から繋がっていない。そういう風に育ってこなかった。 面白い。 このゲームには色んな奴がいる。 機械みたいな女に 闇を抱えた男の子 友達を大切にする男の子 悲しみを抱える少女 そして俺に挑んでくる身の程知らず。
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