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どこまでも広がるお花畑、そこには様々花が咲き乱れ色とりどりに染めている、目を開けて起き上がると不意に誰かに話しかけられた。
『君、可愛いね…寝顔がとっても綺麗だった』
『そんな事言われたら恥ずかしいじゃない!…でもありがとう、あっ!ボクは桜…でも、この名前好きじゃないんだよね…だってボクはさ』
『ううん…君にピッタリの良い名前だよ、ねぇねぇ友達にならない?』
『友達…?』
『うん、俺…君と友達になりたい…ダメかな?』
『良いけど…ボク、もうすぐ帰っちゃうの、おうちに一週間位しか居られない』
『それでも、俺は君と友達になりたい』
『解った…じゃあお友達になる!エヘヘ』
それから二人で毎日の様に…それこそボクが帰る前の日まで無邪気にその子と遊んでいた…帰宅当日、お父さんの車に乗り込みながらもその子の事を気にしていたんだけど、来たのは車が走り出してから…
だから精一杯の大声で言った。
『名前ー!おしえてーっ!!』
『俺はー!こ………』
そのあと全部言った様な気がしたんだけど、車のスピードと風に掻き消されて名前は解らなかった…ただその子と遊んだ一週間はボクの記憶に焼きついている為、今でもその頃の夢を良く見る…多分、その子の事がボクは大好きだったのかも知れない。
と、言う間にも同じ夢を見て目が覚めた。
時計の針はAM5時半を回った辺りで、何時もより少し早い時間、眠い目を擦り壁にかかったハンガーに吊るしてある真新しい制服を見ると不思議に笑みが浮かんだ。
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