② 俺様の秘密

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そして、今日は待ちに待った日曜日♪ 理子の姿で街へ! 少しだけカールさせたセミロングの毛先をなびかせ、駅の改札をくぐる。 秋口、少し寒くなってきたけれど、おしゃれはガマン! 素足にミニスカート。 ほっそりとした生足に男どもの視線は釘づけ。 白いニット。 長めの袖口から指先だけを伸ばし、手すりをつかむ。 ふぅ。 と、薄ピンクのグロスを敷いた唇から甘い吐息をはき、バッグからスマホを取り出す。 付け爪が画面に当たらないように気を付けながら、今日の最初の目的地を検索。 代官山――。 いい響き…。 理想の女子の一日の行動をなぞらえる。 まずはオシャレを絵にかいたようなカフェでひざ掛けを受け取り、オープンテラスの席に腰をおろす。 膝は閉じて、斜め下に足が流れるように。 「カフェ・マキアートをお願いします―」 カフェ・マキアート。 ステキ…。 男の時には頼むことのできないチャーミングなネーミング。 ミルクで描かれたハートマークを崩さないように、やさしくそっと、カップの縁にキスをする。 ふぅ…。 電車の中よりも長めの吐息。 リア…充。 書店でファッション誌のコーナーと写真集のコーナーを回り、雑貨店を2店舗ほど冷やかしてから、おされブティックへ。 胸元にストーンを散りばめた黒のワンピース。 「ステキですよね~そのワンピース~」 店員A。 「よくお似合いだと思いますよ~。アウターとも合わせやすくって~いいんですよね~、それ~。私も使ってるんです~」 貴様と私を一緒にするな。 「ありがとうございます。決まったら声かけさせてもらいますね」 あたりさわりのないように、クールに払う。 いい女はどんな相手にも好意的に、そしてエレガントに。 さぁ、気を取り直して、次のアイテムに。 トルソに着せられた白いブラウス。 襟元にあしらったリボンが上品かつ可愛らしく、アクセントに程よい。 …ステキ。
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