もう一人の、彼

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その時、靴を仕舞った折坂くんが私に気付いたようにふっと視線をこちらに向けた。 一瞬二人の間にだけ、ピリッとした空気が流れる。 私を見た折坂くんは何か言いたげに口を開きかけたけど、私は彼からサッと目を逸らしてしまった。 「リン?」 立ち止まってしまった私を、亜美が不思議そうに振り返る。 ハッと顔を上げると、折坂くんは少しこちらを気にする素振りを見せながらも無言で廊下の方へ歩いて行ってしまった。 「……ねえ、亜美」 「ん?」 靴を履き替えて教室へ向かいながら、私は横を歩く亜美にチラッと目を向けた。 「亜美ってさ。確か折坂くんと一年の時同じクラスだったよね?」 「え? うん、そうだけど?」 「折坂くんて、どんな人だった?」 「は?」 唐突な質問に、亜美は眉を顰める。
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