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――――
――いやいやいやいや、うん、落ち着け俺。
「ぶひゃひゃひゃひゃっ!」
うん、あのっすね、状況わかってます?
俺は今、トールさんの上に倒れ込んでしまっていた。
どっかの漫画みたいな展開に驚いているわけだけど、下にいるトールさんは漫画みたいじゃなくて、爆笑中である。
ぎりぎりで手をついて耐えているというのに何事か。
ついでに膝も痛い。
「はーっ、ごめんごめん、まさか自分の足につまずくなんてねぇ」
そう、トールさんは自分でこけて、俺は巻き添えをくらった。
上着を掴まれて支え切れずに今の状況。
いひひひ、とまだ笑うトールさんは髪も、眼鏡も乱れていて、顔も――淫らに見えた。
酔っているせいか目の下が赤らんでいて、少し涙目――は、笑ったせいか。
――ぐらっ、とキた自分がいた。
「……だいじょぶっすか? 酔っ払いさん」
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