転生者は喋れなくて少し困る

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転生者は喋れなくて少し困る

名も知らない草原にその2人はいた。 一人と一匹でテクテクと歩いている、一匹は方に乗っているが。 先程森を抜け、もう街が見える草原に出ていた。 「キュキュッキュキュー」 広いところに出てテンションが上がったのか、子竜は肩の上で奇妙なダンスを踊っている。 先ほどはこの広い大空を飛ぼうと思ったらしいが、体力なさ過ぎで地面にボトッと落ち、それからこの奇妙なダンスを踊り始めた。 後ろ足で直立し、小さな手を動かし、翼でパタパタ、青年はつい虐めたくなり、肩を上げ下げしてちょっかいを出していた。 そんな事をやっているうちに、街の門まで来た。 「んー?見ない顔だな、どこから来た?」 門の横に待機していた門番は話しかけてくるが、青年は話す事ができない。 その事をアピールするために子竜が全身を使ってジェスチャーする。 「うぉっ!?ちっこい竜なんていんのかよ、テイムしたのか??」 全くもって理解してもらえない。 所詮は喋れない子竜である。 今度は青年が手を口の前でグッパグッパして、その後に両腕をクロスさせてバツを示す。 それを見て門番は理解した。 「なんだ、喋べれねぇのか?それならそうと言ってくれりゃあいいのに」 そう言ってガハハハッと笑い出す。 喋れないのにどうやって言うのか、バカな門番である。 「んじゃ、身分証出してくれりゃあいいや」 そう言われても持ってもない物を出せるはずもなく、青年は首を振る。 その瞬間、門番は疑いの目を向けてきた。 青年は知るはずもないが、最近近場の村で略奪行為をした賊が出たらしく、その事で門番は目の前の青年はもしかしたら…と思ったのかもしれない。 「その様子だと、金も持ってないんだよな?」 青年はこくっと頷く、子竜はなんの話をしてるのか分からず小首を傾げる。 「はぁっ困ったな、仮通行証渡すにも3000かかるし、ギルドでも登録料とかあるしなぁ…よし!軽くクエスト出してやるよ!それをクリアしたら仮通行証とギルド登録料分出してやる!でもクリアできなかったら、悪いけど別ん所行ってくれ、これも規則だからな」 青年はコクコクと頷く、真似して子竜も頷く、何をしてるかわかってないだろうが。 「んじゃ、この草原の中にいるスライムって奴の核を3つ取ってきてくれ」 《クエスト〝通行の試験〟を受諾しました》
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