376人が本棚に入れています
本棚に追加
/138ページ
屑を魔方陣に蹴り入れた翌日
スザク「…嫌な予感がする。まぁいい。起きるか。」
何時も通りに起きたのだが俺の勘が何かを察知したらしく汗で背中が気持ち悪い。
スザク「…汗、流すか。」
軽く汗を流し、高校の制服を着る。その後パンを焼きそれを咥え家を出る。
スザク「赤だな。」
大通りに出た時、信号が丁度赤に変る。待つ間にポケットに入れてある音楽機器を取り出して聴く。一応、周りの音が聞こえるぐらいには抑えてある。
スザク「もうすぐ青になるな。」
今日は少し遅く出たからか人通りは少ない。信号が変わる。
「キャ~~!!」
スザク「っ!?」
悲鳴が聞こえた。
驚いて悲鳴が聞こえた方を見る。一組の男女が血を出し倒れている。近くには異様に笑う男。そして…。
「ねぇ、お父さん、お母さん…。返事してよ。ねぇ、お父さん!お母さん!」
子供が泣いていた。必死に声を掛けながら。
スザク「っ!」《ガタガタ》
無意識に体が震える。子供の姿がいつかの記憶と少し重なる。
「五月蝿えぞガキ!」《グイ!ブン!》
男が子供を掴んで道路の方に投げる。
《ブロロロ!》と音がした。
音がした方を見るとトラックが物凄いスピードで子供に近づいている。運転席を見ると居眠り運転をしていた。
スザク「っ!!」《ダン!》
それを見た瞬間、俺は道路に飛び出し子供を突き飛ばそうとしたがトラックはもう目の前まで迫っていた。
「おにいちゃん?」
スザク「大丈夫だ。兄ちゃんに任せろ。君は死なせない。生きろ。君の親もそれを望んでる。」
子供を抱きトラックに背を向け、タイミングを計って跳ぶ。そしてトラックを蹴る。
《バン!!!!》
スザク「グッ!!」 《ミシ!ボキ!》
身体が空中に浮く。骨が折れる音が聞こえた。子供はトラックを蹴って威力を抑えたのでギリギリ大丈夫みたいだ。地面に向かって落ち始める。
「おにいちゃん!大丈夫?」
スザク「あぁ。大丈夫だ。心配無い。ッ!」《グルッ!ズキン!》
落下中に子供が下になったので無理矢理身体を捻じる。
《ドン!!》
地面に激突する。子供は傷が無い様に見えるが怪我があっても打撲ぐらいだろう。俺の身体が頑丈なのが幸いしたと思う。
「おにいちゃん?」
意識が薄れ何故か少し寒気がする。
「おにいちゃん?血が出てるよ?」
成る程。俺は死ぬらしい。
スザク「君は生きるんだ。」
そして、意識が途切れた。
最初のコメントを投稿しよう!