其之壱 私は、貴女を…愛しています。

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梅の花が咲き始めた2月下旬。 一条舞と小湊麻衣は雪の降る道を歩いている、流石女子高生と言うだけあって、この突き刺さる様な寒さの中でもショート丈のスカートにハイソックス、ローファースタイル、側から見れば寒いだろう事はわかるが、本人達にとってはこれでも普通の格好である。 若さとはそー言うもの…。 「ねぇ、いっちゃん?」 「どうかしたの、みなっち?」 「お茶していかない?」 「あ、うん…構わないけど…」 お互いに『まい』と言う名前を持っている為名前で呼び合うと混乱しかねない、だからお互いの名字から一条の『一』と小湊の『湊』を取り、『いっちゃん』『みなっち』とお互いを呼び合っている。 これはもう、小学校以来続いている事で、本人達もなんの違和感無くそうしてきた。 そんな二人は通学路の途中にある喫茶店『まい』と言う店に良く足を運ぶ、ここのココアが彼女達のお気に入りで店に寄れば寒暖問わずココアを注文する、今は冬だからホットココアが二人の定番。 あとはお店の名前を気に入っていた。 『まい』と言う店に二人の「まい」が来店する、店主もその偶然には驚いたが、ある意味それは店主の楽しみの一つに今はなっている。 カランカラン… 今時珍しい手動式の扉を開けて二人は店に入る、店主はにこやかな笑顔で二人を迎え、同時に 「ホットココアかい?」 と、彼女達の定番の名前を挙げた。
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