完璧な彼の直せないな欠点

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 筒浦朔真(つつうらさくま)という人間は、多くの才能に恵まれている。  彼は俺と同じ17歳という年齢でありながら、どこぞの教授かっていうくらいの訳のわからない分厚い専門書を普段から読んでいたりして、その内容を全て頭の中に記憶しているらしい。  高校レベルの数学の問題集を彼が解こうとするならば、俺がたった一問の応用問題に悪戦苦闘をしている最中に、朔真はその問題集丸々一冊を、答え合わせまで終わらせてしまうだろう。  またそれだけでは飽きたらず、彼は運動も人並み以上にできた。  抜群の記憶力と優れた動体視力を併せ持っているので、大抵のスポーツは誰に教わらなくても、彼は一度見ればある程度の形にできてしまうし、天性の運動神経と駿足の持ち主なので、筒浦朔真がきちんとした練習指導を受けて、熱意を込めたトップスピードで走れたならば、オリンピックの陸上選手にだってなれるのではないかと、俺は本気で確信している。  そして、これは俺が心の底から彼のことを羨ましいと思う理由の一つなのだが、どんなに低く見積もっても、朔真の顔立ちは綺麗で整っている。同性の俺ですら、思わず目を奪われそうになるくらいにだ。  身長はこちらが悔しいくらいにすらりと高いし、天使の輪が掛かっているサラサラの髪と、その下にある少し切れ長の二重瞼と、瞼に囲われた瞳の内に宿る光も、見惚れてしまうほどに鋭い。肌だって滑らかで白いし、顔の中央に通った鼻筋と、少しだけ形の薄いピンクの唇は、本音を言えば、そこら辺の女子なんかよりも綺麗なんじゃないかと思う。  他にも数え上げればきりがないのだが、とにかく筒浦朔真という人物は、様々なものが常人よりも秀でた人間なのである。
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