Memory.1 【別れの挨拶、笑顔の旅立ち】

29/29
315人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
「大丈夫だよ、はぐれても絶対に見つけ出すから」 「だから...!」 もうこの人に何を言っても無駄な行為であるのは先程分かったので、続きの言葉を言う前に私は抵抗をやめることにした。 「笑ってた方がやっぱり可愛い」 すっかり疲れ切った私の頬を突いてきて、優しく笑った吸血鬼になぜか腹が立って。 「ほら、行きますよ」 でもそんな目の前のこの人がなぜか憎めなくて、一歩先を踏み出してにこりと微笑んだ。 「一人じゃ迷う癖によく言うよ」 そう言って二人で笑いながら、歩かなくてもいい筈の人間が引いた道を神様と吸血鬼の異色なコンビの二人で歩いた。 けだるけでどうしようもない神様のイリスと、ひたすら求婚をせがむ吸血鬼の吸血鬼退治の幕開けとなったある日の夕暮れの出来事。 Memory.1 【別れの挨拶、笑顔の旅立ち】end.
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!