Memory.2 【微量の毒と、消化しきれない多量の愛】

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「よし、行きましょうか」 そんなに身構える必要も無いんですが、何かの儀式みたいな願掛けのような事をしていた。 私がいた村を出たのはつい昨日の話。 昨日はあの後、気持ちの整理も兼ねて宿に泊まろうと吸血鬼が提案してきたので、大人しく休むことにしたのだ。 そして翌日の今日、朝一に吸血鬼の根城に来ることにした。 世間一般での話だと、吸血鬼は朝苦手と聞いていたのですが。 噂はどうやら大間違いだったようで、隣の吸血鬼は何の影響も受けずケロッとしている。 「貴女は僕が守るからね、というか宿屋にいて寝ててもすぐ終わるのに」 「同族を倒す腹黒吸血鬼に任せっきりも私のプライドが傷付きますからね」 まあプライドなんて実は全くないし、ただ任せきりが嫌と言う意地なのだけれども。 当の私はどうやら吸血鬼より朝が弱いようで、今物凄い睡魔が襲ってきています。 眠気はいつの間にかイラつきに代わっており、更に吸血鬼恒例のこの城の大きさといったら何の。 「こんな下等な奴らを同族なんて。それこそ僕のプライドが傷付きました。慰めて欲しいな」 「分かった、分かりましたから。ほら、とっとと門開けて下さい」 華麗にスルーした後に、気怠そうにいかにも強固な扉を指さした。 今日の私には開けるほどの元気はないし、丁度元気な奴がいるなら、使う他ないだろう。 「すぐ終わらせて宿屋でイチャイチャしようね」 私の言葉に素早く反応して、扉を足で蹴って吹き飛ばしていた。
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