第1章

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私はスマホの「申請」ボタンをタップした。暇人を探そうとトークアプリをインストールしてからというもの、学校帰りにはソファに寝転がりスマホをやるのが日常になった。母親も父親もそのことについてうるさいが、今日は両親がいないので、自由きままにやっていられる。 私が申請したのは、ちゃろという高校生だ。私は小学生で結構歳が離れているが、まあ気にしない。ふとみると、プロフィールの画像に、顔がアップされている。 っな! 鋭い目に、しっかりとしたまゆげ。口元なども、私のタイプだ。すると胸が高鳴り始めた。耳にドクン、ドクン、と心臓の音が伝わってくる。すると、チロリン、と通知音がなった。はっとすると、「申請が承知されました。この人とトークをします」という表示が出て、トーク画面に映った。ああ、どうしようとキョロキョロする。そうしていると、「よ、こんちゃあ!」と送信された言葉が目に入った。チャラくない・・・・? 私は返事をしてみる。「こんにちは!」 「ああ、あやっていうんだ? 俺ちゃろ。よろな!」すぐに返事が返ってくる。とても面白い人だ。その人とのトークにはまり、ずっと、3時間や4時間、ずっとちゃろとトークをしていた。自然となじめてきて、もう敬語は使っていない。ちゃろが面白いことを言うと、私は現実ではは、と笑う。ちゃろも、私と楽しそうにトークをしてくれる。ああ、安らぎの時間だ。すると、ちゃろがこんなことを送ってきた。「ねえ、顔みせてくんない? みたいんだよね」 顔・・・か。ほかもトーク友達の何人かには見せたことがあるが、やはり恥ずかしい。私は特別美人ではいし、それからそっぽをむかれた経験も少なくはないのだ。だが、きっと分かってくれるだろう。思い切って送ってみた。 ピッ───。 「送信」ボタンを押して、返事を待つ。どんな反応をするだろうか? かわいいといってくれるか、もう縁を切られるか。どちらかだ。 ────パッ。 「うぉぉぉぉおおおおおお! 可愛いぢゃんか! もろタイプ!!!! やっべ、うわっ!」予想外すぎて、私はしばらくポカーンとくちをあけていた。私は時間がたってからようやくわれにかえった。ともかく・・・・「ありがとう! 本当? よかったぁ~」ちゃろが、こんな私がタイプだったなんて。うれしさと驚きに満ちた。すると。 ピンポーン ピンポーン 玄関のほうで、音がした。
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