一話、ぷろろーぐ

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 大切な人は綺麗な金髪に、清んだ瞳は青色だった。  それが今や、全裸で嬲られている。顔には光がなく、絶望な表情で歪んでいた。所々に青アザが目につき、首には締められた跡もあった。  彼女は唇を噛む。血を流すのも構わずに、大切な人の胴体を抱いた。  大切な人の手はない。 『許さない、許さない、許さない』  大切な人の足はない。  魔族に肢体を切られ、犯されていた。  彼女は恨んだ。力のない自分を、大切な人を弄んだ魔族を。  黒き憎悪が心を埋め尽くす。  溢れ出た感情に身を任せ、空を見上げた彼女。ぽつりと一粒の雨が頬を濡らす。  血塗られた遺体を抱き上げ、決意と共に勇者は涙を流し。 『あなたたちを、わたしは許さない。大切なモノを生きる希望も、勇者のわたしが全部コワシテあげる。殺して、殺して、殺して、お前ら魔族を潰してやる――』  勇者とは――魔物を殺す者。  勇者とは――魔族を殺す者。  勇者は誓ったのだ。あの日、人族以外のモノを根絶やしにしてやると――。
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