始まり

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いつもの交差点で、いつものように、友達を待ちながら、メールのチェックをしていた。 「ん?」 見覚えのある、アドレスからのメールだったけど、それは、絶対にあり得るはずがないアドレスで。 だってそれは、私の使っているメアドだったから。自分で自分にメール送るとか、そんなことするわけないし。 ちょうど走ってきた友達と、なにこれー、って、笑いあってたんだ。その時は。 なんていうか、ざわめき出した、町の様子にも気づかずのんきに。遅刻しちゃう~って笑いあいながら、中身を見ずに、走り出したんだ。 結局その日の昼休みまで、メールのことなんて忘れてて。なんとなく暗い顔が多い教室で、お弁当終わったし、ゲームでもしようか、ってなったときに、メールボックスの未読メールを思い出して。 『突然、こんなメールが届いて、びっくりしてるよね。でも、どうしても、今のあなたに、伝えておきたいこと……伝えておかなきゃいけないことがあったんだ』 ナニカの勧誘かな?って、友達と二人で読み進めてみたけど。ね。 それは、ふざけた内容の、深刻な話だったんだ。 とてもじゃないけど。信じられるような話じゃなかった。どう考えても、誰かのいたずらとしか思えないような。 だって、信じられる?自分から自分への、身に覚えのないメール。その内容は、未来からのモノ。 でも、似たようなメールが、クラスの中の何人かにも、届いてた。あとから知ったことだけど、先生たちの中にもメールが届いた人がいたし。世界各国、メールじゃなくて、手紙という形で届いた人もいた。みんな、内容は似たような感じで、わずかな、なんて言うには、多すぎる人数の人に届いていて。 ネット社会って言うか、情報社会って言うか。誰かの呟きが、一気に世界中に広がるこのご時世。一つネットで声が上がったら、一気にそれが広がって。 なんていうか。もみ消す、とか、したかった大人だっていたはずの内容だったけど。ここまで広まってて、まあ、こんな人数同じ体験をした人がいるってなると、最初は認めたくなかった人たちも。認めなきゃいけなくなっちゃったっていうか。そんな感じでさ。 その内容を読んで、たくさんの人が集まって、いっぱいいっぱい話あった。もちろん、私も参加した。 内容を信じたくなくて、最後まで否定しようとした人もいたけど。 なんだかんだあって、【その日】はとうとうやってきた。
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