第七章 良いこと尽くし

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 熱を出した日から約一週間、中間テストから一週間と合計二週間後、テスト結果が返された。点数はどこもケアレスミスが無く、全教科満点だった。  進学校なので、在校生全員の順位を発表する。無論、全教科満点だったのでぶっちぎりの一位だった。  天音たちも全教科とはいかないが、二、三教科で満点を取った。和希は英語でスペルミスが一つで九十九点で、一点下の四百九十九点だったことに物凄く悔しがっていた。  今日は朝に弱いけど頑張って早起きして白のミニ丈のワンピースに同じ色のベルトを腰に巻き、自分の白髪とは正反対の色のリボンであまりやったことの無いツインテールにする。  っで、黒いニーソを履く。あの時は仕方なくだったが、やっぱり恥ずかしい物は恥ずかしいので蒸れるの承知でずっと履くことにする。現時刻は朝の五時。  普段はこんな時間に起きたりはしないのだが、今日はちょっと特別な日なので手の込んだものを作ることにしている。テスト後は休みなので、今日は和希とデートなのだ。  あいつが「一位を取ったら好きな場所に連れて行ってやる」って顔を少し赤くしながら、恥ずかしそうに言ってきた。それが一生懸命頑張って勉強した動力だと思うのだが、それは交際前の話なのでよく分からない。  とにかく、一位は取ったのでここのところずっと言っていなかったデートとしては超定番な遊園地に行くことになった。そこにはジェットコースターやらお化け屋敷やらティーカップやらがあるから、中々楽しい場所だ。  天音たちにどこか遊びに行こうっていう誘いがあったが、それがデートに重なる日だったので断らせてもらった。どういう理由があってこないのかを訊かれたが。  そこはバレるのも嫌なので、適当に誤魔化しておいた。両親も昨日の夕飯時の時にやたらと嬉しそうな表情をしているのに気付き、どうしたのか聞かれた。  まだ両親には和希と交際していることは伝えていないので、友達と遊びに行くとだけ伝えてある。このタイミングで起きてきて、作っているものを見られたら大変だが。  だから両親が起きるよりも先に起きたのだ。父さんは有休を消化させる為に今日は一日中家に居る。  元々あの人は出勤する時間が六時以降なのだが。社長なのに遅いと思う。  俺だったら普通に朝五時には家を出ている。早起きを心掛けているのも、社会人になったら父さんの会社を受け継ぐからだ。
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