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『猫カフェ、ニャーチル』を出て五軒先に空き家がある。ルキアの住んでいた家とは反対側の並びの隅の方。猫日下町よりの住宅地。空き家の隣には空き家と同じように忘れ去られた小さな小さな公園がポツリ。
『チャリオット、遊びに来たんじゃないのよ!』
公園に向かおうとするチャリオットをルキアが怒る。
『本当はルキアも遊びたいんじゃないの?』
『なんですって!?』
パンサーはフッと笑うと睨み付けるルキアをよそに空き家の門を見つめた。
門の作りは、この辺りでもよく見かける人の背丈もない小さな門だ。何年も人の住まない門は錆び付き少し傾いている。鉄でできた門には猫なら余裕で通り抜ける隙間もある。その門の周囲は塀で囲まれているが、大人の猫ならば小さな台でもあれば余裕で飛び乗れる高さだ。
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