溺れる魚は刹那の夢を見るか

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真梨香はというと、見回した中でも一番、見目の良い男の横をちゃっかりと陣取っていた。 この分だと、文句は言われないだろうと思い、ホッとする。 「遅れてごめんね。帰り際に仕事頼まれちゃって 」 「阿倍さんから聞いたー。志水課長もひどいよねぇ、あんな時間に仕事頼んで来なくてもいいのに 」 「でも、課長も困ってるみたいだったから 」 「もうっ! 羽泉さんたら、やっぱり見掛けに寄らず真面目なんだから 」 それに対しては、くららは曖昧に笑った。 割り当てられた席は宮沢の隣りで角の席。 周りに頭を下げながら、上着を脱いで椅子の背もたれに掛けて腰掛けようとしたその時だった。 「お待たせしましたぁ。 羽泉くららさんでーす! 」 突然の、宮沢の大きな声にギョッとする。
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