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『本当にこのメールが届くのかどうか、私には分かりませんが、送信してみます。
元気にしていますか?
このメールが届くときの私は、いつ頃の私なんだろう。
お気に入りのパンプスが1日で壊れて、泣く泣く靴を脱いで帰ったときの私?
初めて彼氏ができたときの私かな?
欲しかった腕時計をお金を貯めて買ったときの私?
通り魔に刺された人を助けたときの私?
彼氏と大喧嘩してお風呂場に隠れて泣いてたら、出られなくなったときもあったね。
友達と旅行に行ったら飛行機が飛ばなくて、なかなか帰れなくなったときもあった。
それとも、結婚したばかり?』
そこまで読んで、私はメールを閉じた。
(嘘でしょ?)
結婚はしていないが、『通り魔に刺された人を助けたときの私』までの出来事には心当たりがありすぎる。そして、時系列まで同じだった。
もう一つ気になったのは。
(なんで腕時計買ったこと、知ってるの?)
私が腕時計を買ったのは、先週のことだったが、買ったことを知っているのは私と、その時レジで対応してくれた店員しかいない。
何故なら、勿体無くて使えず、まだ箱にしまったままなのだ。買ったという話すらまだ誰にもしていない。
これが偶然だと言えるのだろうか。
ホームに次の電車がくる旨を伝えるアナウンスが流れ、現実に引き戻される。
私は一旦列から外れ、そばにあったベンチに腰掛けた。
これは、もしかすると、本当に、未来の私なのかもしれない。
深呼吸をする。私は覚悟をしてメールを開き直した。
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