2055年

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「よし、書くか」 小林正人は”未来メール”のアプリを立ち上げると、本当に大丈夫かな、と心配になりながらも文章を打ちこみ始めた。 心配はこの”未来メール”というよりも、そもそも文章に自信がない。その上、変換をよく間違える癖もあり、このアプリを使う際に結構致命的なんじゃないか、と正人は思っている。「そのくらい大丈夫だ」と父和人は言っていたが、本当に?と心配も疑いもとれない。 そういえば昔から国語の点数悪かったしな、と正人は苦笑いをする。後々のことを考えると、”国語の勉強も頑張るように”と付け足しをしようかな、と思いつくが、色々言うからわからなくなるのよ、と妻によく言われていることを思い出して、付け足すのは止めにした。 ”未来メール” それは祖父の小林正忠が創ったアプリだ。公表はされていない。もっと広めても良いのではないか、とたまに思うのだが、それは止められている。他言無用で家族内であってもそれは変わらない。 時計を見てみると深夜1時。 眠くなる前に早く送ってしまおう、と正人は急ぐ。
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