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「なんだったの?」
「恋の予感が走る瞬間」
「なにそれ?」
「一澤にね、『お前、人違いしたぞ。お前が俺のことでぶったたいた仙条って女子は、本人じゃなく双子の妹のほうだよ』って言ったんだって」
「ああ、うん」
「そしたら、すごい驚きの表情から、ずーっと押し黙って、何も耳に入ってないくらいの緊迫したオーラが出てんだって。あまりに深く自分が叩いちゃった女の子のことを考え込んでこっちの世界に戻ってこれない、みたいな」
「はあ、そう」
「『こいつ、めっちゃ仙条菜子のこと意識すんだろうな、見てたからって恋愛に発展するとは限らないけど、恋の予感がこいつの身体を今、貫いてんのかもな、ってマジで思った記憶がある。そしたらほんとにそうなって笑けた』だってさ」
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