闇夜に咲く花

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 焼け落ちた城の中で娘は願った。誰でも良い。国を滅ぼし、両親を殺し、女としての辱しめを与えた敵国を倒すための力をくれ、と。涙を流しつくし、きらびやかなドレスはズタズタに切り裂かれ血と埃にまみれた姿。今の彼女には王女の気品はなくただのちっぽけな少女だった。  『我が力を授けよう』  地の底からひびく声にうつむいていた顔を上げると闇の王がいた。漆黒の衣を身にまとい、禍々しいオーラを発する長身の男が。  『ただし、我の邪魔をする 精霊王たちを封印してもらうことになるが』  ユリカ姫は闇王フィンスター二スの手を取ると立ち上がった。その瞬間、ドレスは漆黒の甲冑となり、金糸の長い髪が闇色に変わる。  「復讐のためならば何でもするわ」  二人は火・水・土・風・光の精霊王を封印するために死臭が残る城をあとにした。
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