やみやみのうちに爪をとぐ

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「今夜だけじゃなく、ずっと亨を手にいれたいんだろう? 」 堕ちないだろうけどね、君には。 それも、僕にはどうでもいい。 「それはそうだけど……でも、今あの二人が一緒にいると思ったら、悔しい。私の方がずっと一緒に行動して、仕事もできるのに! あんな、顔だけが取り柄の受付なんかに……」 悔しそうに唇を噛む。 自分がどれほど上等な女だと思っているのか知らないが、安藤はとにかく倉本春妃を下に見ている。 役員と身体の関係を持ちその恩恵を受ける為に恋愛感情を犠牲にしてきたくせに、いざ飽きられそうになると、今度は拠り所にしてすがり付くつもりらしい。 呆れるくらいの恥知らず。 面の皮の厚いことだ。
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