薫とヴィーセル

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「シュテルン石は五個集めたんだ。もう終りだろ」 「終わりじゃありませんよ」 「は?」  ヴィーゼルはケーキを取ろうとしてぴょんぴょん跳ねながら、何でもないことのように言った。 「シュテルン石は五個ごとに転送されるだけです。これで終了するわけではありません」 「はあ?」  ヴィーゼルはとんでもないことを言い出した。 「そんなの聞いてないぞ! 五個で終わりじゃないのか!」 「そんなこと言っていませんし、カオルさんが勝手に勘違いしただけです」  カオルは今までのことを必死に思い出す。  確かに五個で終わりとは言っていなかったような?  ヴィーゼルが何て言っていたかうまく思い出せないが、つまりはこれからも魔法少女になって、シュテルン石を集めなければならないということになる。 「マジかよ……」  カオルは手で目を覆って、天井を仰ぎ呻いた。  これで最後だと思っていたのに……。  無理やり魔法少女に変身させられることも。  とんでもなく恥ずかしい思いをさせられることも。  あの変態王子に関わることも。  全てを今日でおさらばし、平穏な日常が戻って来るのだと思っていたのに。  その期待は全て打ち砕かれた。 「……おあずけ」 「何ですか?」 「ケーキはおあずけだ!」  ヴィーゼルとの別れを惜しんだ気持ちを返せ! 「ええ! 横暴です!」 「うるさい!」
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