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カオルはシュテルン石にほとんど触っていないので、感じるならヴィーゼルの温もりになるわけだが、王子が気持ち悪過ぎてツッコミを入れる気力は全くわかなかった。
鳥肌も立ち始める。
『この調子でこれからもよろしくね』
ん?
今なんて言った?
カオルは王子の言葉に引っ掛かりを覚えた。
『あ、そうだ。ヴィーゼル』
「はい。何でしょうか?」
『送ってもらったカオルちゃんのヌルンヌルン写真なんだけどね』
おいちょっと待て。
ヌルンヌルン写真って何だ。
いや、それよりさっき王子の言ったことが。
いや、先に写真か?
どっちも重要すぎて、カオルの中の優先順位が定まらない。
『実は写真にうっかりかけて汚しちゃったんだよね』
「何をかけたあっ!」
王子の衝撃発言に、カオルは思わず叫んでいた。
『あ、カオルちゃんごめんね。一番のお気に入りでよく部屋にこもって一人でその写真を見ていたのだけど、間に合わなくてカオルちゃんを汚しちゃったよ』
「やめろおおおおお!」
カオルは頭を抱えて、激しく身をよじった。
カオルの精神的ダメージは計り知れない。
『ほら。可愛いカオルちゃんの顔にかかっているでしょ?』
王子が画面に一枚の写真を映す。
「もうやめっ」
カオルが絶望的な目でパソコンを見ると、そこには触手に絡みつかれたカオルの写真が映っていて、上半分が茶色くなっていた。
「茶……色……?」
カオルの予想に反した色で、カオルはまじまじとその写真を見てしまう。
『コーヒーの入ったコップを倒してしまってね。慌てて写真を引き上げたのだけど、間に合わなかったんだよ……』
王子がしょぼんとする。
「なんだ、コーヒーか……」
カオルは脱力した。
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