彼のそば

7/66
3246人が本棚に入れています
本棚に追加
/604ページ
「ユッキーさ、じゃいつにする?」 森宮に訊かれて、幸成はじーっと見つめていたパンダパンから目をあげた。 「そうだな―――土曜でいい?」 「土曜ね。あ、一応、松下も誘ってみるか」 ―――誘ってもたぶん来ないよ、松下は。 そう言おうとして、ふと視線が留まった。 後ろの出入口から入ってきた松下の姿に。 「おぅ、松下、無事生還したか」 まっすぐこちらに来た松下に、森宮が声をかける。 「おまえ、また何かやらかしたんかよ。佐野があんな怒ってたってことはさ」 ずけずけ言う森宮に、近くの席に座った松下は、おもしろくもなさそうな表情を向ける。 「なんもしてねーよ。あいつが勝手にヒスおこしてるだけで」 こともなげに答える松下に、幸成はわずかな息苦しさを覚える。
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!