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ノエルという少年はナイフの運び屋だった。
彼はずっと昔からナイフを特定の人間へと届ける役割を負っていた。少年の姿をしているが、少年ではない。
「さて、そろそろ回収に行かないと」
彼の使命は今後も続く。この世界線が続く限り。
「これで終わりかとも思ったけれど、存外運命の神様というものはこの世界線がお気に入りらしい」
彼は運び屋。ナイフの意志の元、ナイフを必要としている者の前にナイフを届ける。
「この世界は線でできている」
そして、そのナイフはその線を1本だけ切ることができる。
「次は誰の所へナイフを届けるのかな」
ノエルの使命は続いている。
彼がずっと昔に自らの死を切ってしまった時からずっと。
この線が切れるまで。
Fin.
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